リウマチについて

2017/12/06 お知らせ

医師 白戸 克明

何も心当たりがないのに手足が痛くなった時、皆さんは「もしかしたらリウマチ?」と心配されるかも知れません。リウマチは、正式には「関節リウマチ」と言う病気で、身体の免疫システムの異常が主な原因です。日本人の有病率は概ね1%と言われていますので、小金井市には1200人(人口12万人)、三鷹市には1800人(18万人)程の患者さんがいることになります。女性にやや多く、しかも40代で発症することが多いため、子育てや仕事がピークの時期に重なってしまうと、日常生活が大変になってしまうこともあります。

リウマチの症状は、何と言っても「痛み」と「腫れ」です。これは関節内に炎症が起こることによって引き起こされる症状で、手指、手首、肘、膝、足首などの関節にみられやすく、数週間にわたって症状が持続します。この状態を放っておくと、関節が徐々に破壊され動きが悪くなります。その他にも手指がこわばったり、良くわからない怠さ微熱、食欲低下などがみられることがあります。

診断のためには、診察の他に血液検査やレントゲン検査が必要になります。ただし、リウマチの初期には診断が白黒はっきりしないこともあります。その場合にはMRI(磁気共鳴画像診断)や関節超音波などの検査を組み合わせたり、定期的に通院してもらって診察や検査を繰り返したりします。また、関節に症状がみられる病気は、リウマチ以外にもいくつか存在しますので、それらの病気との区別も必要になります。

治療は、まず薬を投与することから始めます。初期には診断がはっきりしなくても、痛み止めや炎症を抑えるステロイド薬を投与して症状を和らげます。診断がはっきりした時点で、リウマチの進行そのものを抑えるために抗リウマチ薬(飲み薬)を投与します。最近は生物学的製剤と言ったバイオテクノロジー技術によって生み出された薬(点滴注射または皮下注射)も選択出来るようになり、早い段階で治療を開始すれば、痛みから解放されるだけでなく関節の破壊も防ぐことが出来ます。患者さんによっては、残念ながら治療に反応せずに関節の破壊が進んでしまう方がいます。その場合には手術で変形を矯正したり、更にリハビリテーションを行うことで痛みを軽減したり、装具(サポーター等)を作成して関節にかかる負担を軽減したりします。

リウマチは、以前は「痛みがずっと続く病気」、「寝たきりになる病気」と言ったイメージでしたが、最近は治療の進歩もあって症状を鎮静化させることが出来るようになりました。「もしかしたら…」と感じた時には、お気軽にご相談ください。