ワクチン後の生活

2021/08/04 お知らせ

変異株の問題

世の中はワクチン、ワクチンです。接種が進んでいるイスラエルや英国を見ればワクチンの効果は明らかで、日本は大幅に出遅れたことで現状を悪くしているのは当然です。日本にはまだ1本のワクチンも入ってきていない昨年、私の患者さんで横田基地にいた退役軍人も日本人従業員もすべて2回接種が終わったと聞いたときはちょっと驚きました。
しかしワクチン接種が進めばことは解決するでしょうか。そう簡単ではないかもしれません。まず変異株の問題です。ウイルスは増殖を繰り返すうちに必ず変異して性格を変え、その一部はワクチンの効果を凌駕するかもしれません。英国では最近わずかずつ感染数が再上昇しており、原因の一つは変異株と言われています。今まで感染を抑え込んできたベトナムや台湾でも変異株感染が増えています。世界中で一気にワクチンを打って抑え込んでしまえば変異する機会を減らせたのですが、国の格差が接種率の差を生み、接種できていないところで変異株が増えて、今度はそれがまた世界をめぐる構造があります。
さらには獲得された抗体価の低下の問題があります。6カ月は大丈夫、1年でもかなり持つのではないかと言われますが、いつか効果はなくなるのでワクチンは継続する必要があり、現在のインフルエンザワクチンのように毎年流行る株を予想して年に1回は接種するようになるでしょう。

今後も油断せず

もう一つ重大なのがインフルエンザや、小児のRS ウイルス感染症が大きく増加するかもしれないのです。この1年半、あなたは風邪をひきましたか? 世界中でコロナは流行ったけれどもインフルエンザやRSウイルス感染は激減しました。マスク、ディスタンス、アルコール消毒の生活でコロナ以外のウイルスとの接触がなくなり、免疫力も下がっているはずです。そこでコロナワクチン後の生活が始まると無防備な状態で感染が拡がる可能性があります。
もともと毎年のインフルエンザ関連死亡数は約1万人程度と厚生労働省は発表しています。コロナと死亡数だけ見ると同じくらいなのです。コロナ後にインフルエンザが例年以上に流行したら大変なことになるかもしれません。油断することなく生活し、インフルエンザワクチンも積極的に受けたほうがいいと思います。
一方この1 年半、人と人の接触が大幅に減り孤立からうつ病が増えたり、認知症症状が悪化したり、運動不足からくる健康障害が報告されています。ワクチン接種が進んだ後、注意をしながら、パンデミック後の新しい医療生協活動を作っていく必要があります。一緒に頑張りましょう。

むさし小金井診療所 副所長 村田嘉彦