薬のはなし 冬の養生

2021/01/27 お知らせ

古川広志 本町薬局長
野村美絵 薬剤師
(漢方薬・生薬認定薬剤師)

野村:すっかり寒くなりました。植物が枯れ、動物は冬眠し、人間は体力を腎に蓄える時期でもあります。中国最古の医学書である黄帝内経(こうていだいけい)によると、冬の養生は、身体の陽気を漏らさないように寒さを避け、身体を暖かく保つ、早く寝て遅く起き、十分な睡眠時間を確保しましょうと書かれています。
古川:冬は静かに過ごそうと言うことだね。
野村:はい、激しい運動は疲れ過ぎを招き、腎の気が痛むと言われています。ストレッチなど適度な運動がおすすめです。
古川:冷えがあると寝付きが良くないから、寝る前のお風呂で身体を温めることは睡眠の質を高めるね。食べ物も、身体を温める物が良いよね。
野村:はい、冬は身体を温める食べ物、「塩辛さ」「黒い食べ物」が腎の免疫機能を高め、老化を防ぐと考えられています。塩辛さといっても塩分で血圧が上がっては身体に良くありません。薬膳では、海老、貝類、シャケ、海藻類、鴨、豚肉などになります。
古川:黒は、椎茸、キノコかな。
野村:そうです!他にごぼうや黒キクラゲも良いですね。普段よりも少し黒色食材を増やして、他の色(緑、赤、黄、白)も取るようにするとバランスがいいですね。今回のレシピでは冬の薬膳鍋を紹介します。皆様のお好みを加えてアレンジを楽しめると思います。健康増進、春に向けて身体を整えていきましょう。

~冬の薬膳鍋~

【材料(4 人分)】
舞茸、椎茸、しめじなどミックス
(免疫力アップ) 
長ネギ(風邪予防)   1 本
白菜(風邪予防)    1/8
鮭          2 切れ
豚肉         200g
豆腐         1丁
黒キクラゲ(便秘改善) 5g
なつめ(貧血、便秘改善)8 個
くこのみ(かすみ目、免疫力アップ)大さじ2
しょうが(身体を温める)1片
市販の鍋スープの素   1袋
【作り方】
なつめ、くこのみはよく洗う。黒キクラゲはお湯に10分ほどつけて戻す。野菜、肉類は食べやすく切る。具材とスープを鍋に入れて煮込む。