理想は大きくて軟らかい便がスーっと(その2)
2018/01/10 お知らせ
患者さん:私の便は兎の糞のようなコロコロ便です。出すのに苦労しています。
薬剤師:便は硬くて小さいほど出しにくくなります。そのため軟らかくて大きい便、つまり出しやすい便に近づけることが薬物療法の治療目標です。便の性状変化*1では、出しにくいコロコロ便をソーセージ状であるが硬い便に、さらに表面にひび割れのあるソーセージ状の便へと出しやすい便に変化させ、最終的には
表面がなめらかで軟らかい或いは蛇のようなとぐろを巻く便(普通便)にすることが治療目標になります。
患者さん:便が出た出ないではないんですね。前号で便秘の治療薬には2 つのタイプがあると聞きましたが、硬い便を軟らかく大きくする薬には、どのような薬があるのですか?
薬剤師:代表的な薬は、酸化マグネシウムです。この薬の特徴は、主成分が吸収されにくい薬であること、継続服用しても効果が減弱しないこと、そして安価であることです。
患者さん:薬の成分が吸収されないのに効果が出るの?
薬剤師:吸収されにくいからこそ効果が出るのです。原理はこうです。酸化マグネシウムは、服用後、胃酸や膵液と反応し吸収されにくい形になり腸に到達します。そして硬い便にまとわりつき腸管内の水分を吸い寄せます。その結果、硬いコロコロ便が水分を吸収して軟らかく膨張し大きく成長します。大きく成長した便は腸管壁を刺激して蠕動運動を促し便が排泄されます。
患者さん:ちょっと難しいけど、つまりマグネシウムが水を吸い寄せて便を軟らかくして大きく成長させるですね。
薬剤師: その通りです。この続きは次号にしましょう。
*1)ブリストル便性状スケール