ケアの分断をなくし、患者と医師をつなぐ!②
2023/04/19 お知らせ
かかりつけ医がゲートキーパの役割を
むさし小金井診療所で毎月第4土曜日に診療をお願いしている金子惇先生の研究内容が、毎日新聞(2022年11月10日付)に「かかりつけ医を身近に」の記事で掲載されました。今後、高齢化社会が加速する中、かかりつけ医の役割はどうなっていくのか訪問看護師・岩井美香施設長が聞きました。
(①の続き)
金子 全部を医師がやる必要もなくて、ケアマネや看護師がやってくれるとか、医師がハードルを下げて、声をかけてもらいやすくするとか。「病院は病気を診る」に特化し、「診療所は生活を支えるインフラ」のような役割とし、病院で働いていた先生が診療所に来るときには、視点を変えないと診療所は小さな病院になってしまう。地域の視点みたいなものは、医師だけでなくケアマネや看護師がそれを伝えていくことが大事なのではないでしょうか。
岩井 私はずっと小金井で仕事をしているのですが、医師会、介護事業所、行政と勉強会をやって横のつながりができていると思っています。また、医療生協では、勉強会やイベントなど患者さんと診療以外で接することで見えてくることがあります。
金子 島に行ってよかったことは、患者さんと診療所以外でよく会うことです。薬をもらってもよくならないと言われたり、そういうのは診療所で診ているだけではわからない。病院に来なくなり、よくなっているのではなく他の病院に行っているのかもしれない。組合員にとっては医療者が班会に来てくれることにメリットがあり、医療側にとっても、患者さん、利用者さんの様子を診療所以外で見れるのは医師の成長に必要です。
岩井 ドクター同士のコミュニケーションについては、どうでしょうか?
金子 以前、桜町病院の先生と勉強会をしていたときは顔がみえる関係になり、気軽に電話やメールができたりしたので、そういうのはやったほうがいいと思っています。ただ、全部の人とつながれるわけではないので、病院の地域連携室や、診療所だったら看護師に伝えるのもいいですね。
岩井 患者がお薬手帳を医師に見せていなかったりして、似たような薬が出ていたりすることもあります。
金子 薬の重複は看護師からも医師に伝えてください。
岩井 安心しました。顔の見える関係が大切ですね。なんでも相談してもらえる関係でいたいなと思います。
金子 離島では関わる人が限られているので顔が見えている。都市部だとケアマネも看護師もいろんな人がいて、把握しきれないほど事業所もあって、そうするとどうやって連携をとるかをより意識的にしていかないと、医者のほうが自分の医療機関に閉じこもりやすいかもしれません。
岩井 医療だけでなく介護も含めてその人にかかわるチームとしてやっていけるといいですね。先生には、むさし小金井診療所で診察もしていただいていますが、診療所の課題や期待について何かありますか?
金子 診療所が長く続いていて、患者さんも長かったりして、病院に行っても診療所に戻ってくる患者さんもいるので、そういうときに昔みたいにかかろうと思える診療所だといいですね。組合員という意味あいも大きくて、患者同士のコミュニケーションがある、そういう医療機関はなかなかありません。個人で病気に向かい合うのではなく、班会などで一緒につらさを共有することができるのはメリットどころかアドバンテージです。そういういいところがいろんな人に伝わるといいですね。
岩井 普段の何気ない会話から、患者・組合員同士のコミュニケーションが生まれていますね。本日はお忙しいなか貴重なお時間をいただきありがとうございました。