理想は大きくて軟らかい便がスーっと(その4)

2018/07/04 お知らせ

古川広志 本町薬局長

(前号からの続き)

薬剤師:酸化マグネシウムと胃酸分泌を長時間かつ強力に抑える薬(商品名:タケキャブ、ネキシウムカプセル等)との飲み合わせについてです。
患者さん:併用すると、どんなことが起こるの?
薬剤師:今シリーズ(その2)の内容を思い出して下さい。酸化マグネシウムは胃酸や膵液により吸収し難い形に変化して緩下作用を示すとお話ししました。
患者さん:つまり酸化マグネシウムは、効果を発揮するためには胃酸が必要という話でした。
薬剤師:その通り。では、酸化マグネシウムが形を変えるために必要な胃酸の分泌をタケキャブやネキシウム等で強力に抑えてしまうと…?
患者さん:あっ!酸化マグネシウムは形を変化させることが出来なくなります。
薬剤師:すると?
患者さん:酸化マグネシウムの緩下作用が十分に発揮できません。
薬剤師:その通り。酸化マグネシウムで良好な排便状態だった方に、タケキャブやネキシウム等の薬が開始された後、酸化マグネシウムの効果が十分に得られず便が硬くなり、酸化マグネシウムの増量が必要となったケース、逆にタケキャブやネキシウム等の服用を中止したら、酸化マグネシウムの効果が強くなり下痢になったというケースも起こり得ます。
患者さん:では、併用してはいけないのですか?
薬剤師:絶対駄目!と言う飲み合わせではありません。ただし薬を服用する際に知っておいて欲しい情報なのです。
患者さん:酸化マグネシウムが急に弱くなった気がする、又は急に強くなり下痢した気がする時に、この飲み合わせが原因でないか疑うことができます。
薬剤師:自分が飲んでいる薬がどの様に影響し合っているかを知り、必要な時に、必要な薬を、必要な分だけ服用する薬物療法にしていきましょう。